第2091号2021年2月10日
改正給特法第5条 1年単位の変形労働時間制について

教員の深刻な長時間労働を是正するため2019年に給特法が改正され、学校における働き方改革が推進されています。法改正の柱の1つが「1年単位の変形労働時間制」の学校現場への導入であり、浜松市では条例案提出が予定されています。また県・静岡市でも、今後の交渉課題となっています。1年単位の変形労働時間制は、全体の業務量が変わらない限り単なる時間の付け替えとなり、長時間労働是正のための根本的な解決にはなりません。そのため、適用(実際に制度を活用すること)には、慎重な対応が必要です。

1年単位の変形労働時間制とは?

法改正により、正規の勤務時間(7時間45分)を延長し、延長した分を長期休業期間中に休日のまとめ取りにあてることが可能となりました。言い換えると、「長期休業中に休日をまとめ取りするため、その時間を忙しい時期に振り分ける」ことができるようになったということです。

文科省は、あくまで教員という仕事の魅力を高めるために、長期休業などにまとめて休めるようにするためだと説明しています。また、必ずしなければならないというわけではなく、あくまでも「適用することを可能」とする改正です。

▼ 課題 ▼

  • 育児や介護等、個別の事情があり、勤務時間を延長すること自体が難しい教員がいる。
  • 教員に閑散期などない。特に中学校は夏休みも部活動を行っており、休日のまとめ取りができない。
  • 残業手当の対象となる栄養職員や事務職員には適用されず、校内で異なる対応になってしまう。

そこで、静教組では制度を学校現場に適用する前提条件について、各教育委員会と交渉しています。

  • 適用しようとする学校の教職員全員の時間外在校等時間が、月42時間、年間320時間以内に収まっていること
  • タイムカード等の客観的な方法で勤務時間記録を行っていること
  • 持ち帰り業務が増大しないよう、実態の把握と対策を講じられていること
  • 中学校における部活動ガイドラインが遵守されていること
  • 研修の精選など、長期休業中の業務量の削減を行い、休日のまとめ取りができる環境であること
  • 教職員代表と管理職の合意により適用されるとともに、合意内容は、文書等の記録で残されること
  • 職場全員一律の適用ではなく、個別の事情に合わせて検討できること

1年単位の変形労働時間制の適用だけでは、働き方改革にはつながりません。適用に向けて、各教育委員会や学校の管理職が具体的な施策を講じることが大切です。特に、時間外在校等時間の上限に収めるための具体策が重要です。今後も、静教組は「定数改善」や「業務削減」などを求めて、教育委員会と交渉を行っていきます。