第2066号2019年12月10日
執行委員コラム 信じてやまない心

この原稿を書いている時点で、ラグビーワールドカップ決勝トーナメント準々決勝「日本 対 南アフリカ」の試合で悔しくも日本が敗退し、非常にがっかりしているところである。しかしながら、ここまでの興奮を与えてくれる試合がこれから準決勝、決勝と続くことは、いわゆる「にわか」の私からしても、楽しみなことこの上ない。

ラグビーワールドカップ開催まで100日というタイミングでおこなわれた記念イベントに出席した五郎丸歩選手は、「どのチームが優勝すると思いますか?」との問いに「日本です」と答えていた。場内が笑いに包まれると、真顔で「みなさん笑っていますけど、本気ですから」と付け加えたそうである。かつて、サッカーの本田選手も「ワールドカップ優勝」を目標に挙げていたことがある。

どちらのニュースを見た時も同じで、これを額面通りには受け止めていない自分がいた。残念ながら、今の時点でラグビーもサッカーも目標達成には至っていないわけだが、ことラグビーに関しては、優勝候補や前回大会の宿敵を破っての全勝での予選リーグ突破。少なからず五郎丸選手の発言が、日本代表へのリップサービスでの発言ではなかったことが証明されたわけで、ファンの多くも優勝を意識したであろう。五郎丸選手や、日本代表の選手たちも含め、信じて最善を尽くしていた方々に「ごめんなさい」と言いたいところである。

さて、私たち教職員が関わる学校の仕事においても、組合の活動においても、はたまた日本人全員が関わるはずの政治の話においても、「自分がやったって・・・」「どうせ何も変わらないんでしょ」という声はよく耳にする。そんな話を聞くたびに、残念に思っている。「たとえどんなに難しいことであっても、やる前からあきらめないで」と言いたいところである。少なくとも学校では子どもに対して「最初からあきらめなさいよ」なんて言っている方は一人もいないはずなのに、自分のこととなると忖度がはたらいてしまうのは、私たち教職員の悪いところかと思う。

静岡市では、9月の静岡市議会定例会において、念願であった「下限撤廃による静岡式35人学級の完全実施」が市長によって明言された。静岡市の教育に関わる誰もが望んだ政策の実現に現場でも大きな喜びの声が上がった。

私たち教職員は、明日の子どもの成長、ゆたかな教育環境の実現を信じて、日々過ごしている。教育の世界では、今やっていることの日の目を見るには10年、長くは20年以上かかるとされている。ということは、今の学校現場があるのは、先人たちの日々の絶え間ない「信じてやまない心」があったからに他ならない。信じてすすむこと、積み重ねていくことの重要さを改めて感じさせられるラグビーワールドカップだった。

(静清教職員組合 執行委員長 杉浦耕士)