第2128号2022年8月25日
定年引上げに関する静教組の考え方

2023年度より教職員の定年引上げが実施されます。2年ごとに1歳ずつ定年退職年齢が引き上げられ、2031年度に65歳定年制の完成が予定されています。 【資料1】

制度の詳細や任用形態等については、今後、県・静岡市・浜松市ともに、9月議会で条例改正された後、人事委員会や教育委員会において細かな内容が整備されていく予定です。

静教組は、教職員の多様な働き方の実現やよりよい学校運営等をめざし 「定年引上げに関する要求書」を県・政令市教委に提出し、交渉・協議をすすめています。

以下に、交渉・協議における静教組の基本的な考え方や要求事項について示します。

<<交渉・協議における静教組の基本的な考え方>>

「教職員の持続可能な働き方に資するとともに、経験や知見を生かした学校組織・運営の確立により、子どもたちのゆたかな学びを支える学校教育の充実をめざす必要がある」

  • 対象となる教職員の職務職責に見合った勤務条件を確立すること
  • 定年前再任用短時間勤務及び暫定再任用における教職員の希望が最優先されること
  • 新規採用教職員、役職定年等の教職員人事を計画的に行うこと
  • 制度完成までの間、運用面について継続的な分析・協議を行うこと

定年引上げに関する項目

各項目の補足説明

静教組の要求事項
8月12日時点で教育委員会より回答のあった主な内容

60歳を超える定年制常勤職員の賃金水準について

現行の再任用制度では、月例給が定年退職時の6割水準となっています。また生活関連手当は支給されていません。

定年引上げ後は、定年制常勤職員(いわゆる正規教職員)となることから、生活関連手当等も含めた賃金水準を求めています。
<県><静岡市><浜松市>
当分の間、給料月額は、職員が60歳に達した日以後の最初の4月1日に、同日における給料表の職務の級及び号給に応じた額の7割水準

60歳に達した日以後に退職した教職員の退職手当について

退職手当は、退職日の給料月額をもとに算定されるため、61歳となる年度以降の給料月額が変わるようなことになると、支給額に大きな差が出てしまいます。

定年引上げ後、60歳以降のどの年齢で退職したとしても、満60歳になる年度末までの最高給料月額(ピーク時)をもとに算定されるよう求めています。
<県><静岡市><浜松市>
退職手当の基本額の計算方法に係る特例(ピーク時特例)を適用

学校組織の活性化について

制度完成までの10年間は、2年ごとに定年退職者が出るしくみです。それに伴い、新規採用者数が2年ごとに大きく変わることは、学校運営上望ましくあリません。

制度完成までの10年間の退職予定者の数をもとに、計画的な採用計画を作成し、毎年の新規採用者数を平準化するように求めています。

暫定再任用者の賃金水準について

10年後の制度完成まで、現行の再任用制度の代替となる「暫定再任用制度」が導入される見込みです。

【資料1】【資料2】

定年制常勤職員と同じ仕事内容が求められるのであれば、同一労働同一賃金の考えからも、暫定再任用者の待遇改善を求める必要があります。
<静岡市><浜松市>
現行再任用制度と同等の制度・待遇

定年前再任用短時間勤務制度について

定年引上げ後は、基本的には定年制常勤職員(フルタイム)となリます。一方で働き方の選択肢を増やすために、定年前に退職したのちに再任用ハーフまたは3分の2(週31時間勤務)等で働くことが可能な、定年前再任用短時間勤務制度を設ける必要があります。

再任用者の数が教職員定数内となると、新規採用者数等との関係で希望する任用に沿えない可能性も出てきてしまいます。

制度の導入ともに、県・政令市が独自で予算を確保し(県・政令市単独措置)働き手のニーズに沿って任用するよう求めています。

役職定年制について

正確には「管理監督職勤務上限年齢制」といい、国家公務員では60歳をその職における定年(いわゆる役職定年)としています。一方で、役職定年の例外となる特例も設けられています。

組織の活性化を図ること等を目的に、国家公務員と同様に原則として60歳での役職定年制を求めます。また、特例を設ける場合には、公平性や透明性を確保し、教職員が納得できる基準となるよう求めています。
校長、教頭、主幹教諭(※)…教諭(2級の職)へ
く県>共同学校事務室参事、統括室長(※)…事務主幹(5級の職)へ
く静岡市>協議中
<浜松市>専門監、主幹…副主幹(4級の職)へ

※…管理職に準ずる職

教職員への情報提供および意思確認について

定年引上げ後も定年制常勤職員として働き続けるか、または退職して新たな再任用制度を活用するか等の選択ができるよう、早い時期に制度説明を行う必要があります。

対象者が生活の状況や希望する働き方をもとに適切に選択できるよう、59歳となる年度に任用や待遇面を含めた制度全般について説明を行うよう求めます。