第2126号2022年7月25日
アクションフォーラム2022
〜各単組・支部定期大会、そしてアクションフォーラムで具体の運動に〜

全体会のようす

6月25日(土)、静岡県教育会館においてアクションフォーラム2022が開催されました。アクションフォーラムは、静教組定期大会で決定された運動方針について理解を深め、今後の具体的な活動につなげていくために、単組・支部役員が学習する場です。44回目となった今回は、全単組・支部から79人が集まり、新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、全体学習会と5つに分かれての分科会を行いました。

中央執行委員長挨拶要旨

参議院選挙に向けNHKが行った世論調査では、「岸田政権の支持率が4ポイント下がった」や「投票に必ず行くと答えた人が54%」などと報じられましたが、私は「回答率55%」の方が気になりました。世論調査に応じる人は政治にある程度関心のある方が多いと推察されますが、その数は半数を超えた程度ということになります。

日本では、教育の政治的中立性を「学校において政治的ネタを扱わないこと」とされ、結果的に国民は政治から遠ざけられてきました。日本人の政治的“無”関心とまではいいませんが、“微”関心は教育が要因であると考えます。

コロナ禍によって大きなダメージを受けた経済や社会生活、人口減少社会における社会保障制度、エネルギー問題など課題は山積しており、本来ならば国政選挙はもっと関心が高まるはずです。さらに改憲の動きも加速しています。国会での憲法審査会は回数を重ね、参院選の結果によっては「憲法改正」の発議が行われる状況です。そして、この状況に私たち教職員はより関心と危機感をもつべきと考えます。

1947年に制定された教育基本法では「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と規定されていましたが、2006年に改定された教育基本法では「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり…」とされました。

日本においては、戦前・戦中の「軍国主義教育」の反省に基づき、1947年の教育基本法では教育は「国民に対して直接責任を負う」ことが求められました。しかし、2006年の教育基本法では「直接責任を負う」が削除され、「法律に従う」ことと変えられました。法律を守ることは当然のことですが、問題は、その法律が人権や民主主義を尊重するものか否かということです。

5/7の憲法学習会での木村草太さんの話にもあった通り、日本国憲法は、“人権の尊重”と“民主主義”を原則としています。改憲によりこの原則が歪められれば、関係する法改正が行われ、それは教育内容にも影響を与えます。仮に、法律を批判する授業を行えば“指導”を受けることも想定され、それはまさに現在ロシアの学校においてウクライナ侵攻の正当性を教えている状況と変わらないといえます。

国会の憲法審査会では「自衛隊」の位置づけや、有事の際の「国会議員の任期延長」等が議論されていますが、改憲は“基本的人権の尊重”や“戦争放棄”を国際社会に宣言した国のあり様そのものを変える恐れがあります。したがって、戦後教育は最大の危機を迎えている状況であり、情勢は極めて厳しいですが、一人でも多くの教職員と危機感を共有したいと考えます。

私たち教職員は子どもたちにどのような社会をつなぐのかという思いを共有し、日々の教育実践にとりくむことが大切です。教育研究活動の方針である「憲法理念の尊重」と「民主教育の確立」とはまさにそのことを示しています。そして、それが教職員組合の存在意義と考えます。私たちの日々のとりくみが民主主義や平和の実現につながるという思いを皆さんと共有し、静教組運動をすすめていきたいと思います。