第2055号2019年6月25日
第106回静教組定期大会 〜働き方改革 現状を変えるための一歩を〜

中央執行委員長あいさつ(要旨)

鈴木伸昭
中央執行委員長

今、子どもの命と権利が脅かされていることに社会がどう向き合うべきかという課題を突き付けられています。背景や要因、対応策が異なるものではありますが、子どもたちの命と権利が保障され安心して学び暮らすことのできる社会づくりは私たち大人に課せられた責務です。2019年は、子どもの権利条約が国連で採択されて30年、日本で条約が批准されて25年という年になります。児童虐待が社会問題化することによって、子どもの生きる権利、暴力や搾取から守られる権利などが認知される傾向にはありますが、その理念が社会に根付くには至っていません。今、学校現場は学習指導要領の移行への対応が喫緊の課題ではありますが、こうした社会的な課題も見据えつつ教育活動を展開する必要があることも大切なこととして確かめ合い、心に留めておきたいと思います。

2019年は「働き方改革元年」と言うべき年であり、働き方改革関連法が4月から施行され、罰則付き時間外労働の上限規制の導入という労働基本法制定以来の大改革を始めとして、長時間労働に依存した日本型労働環境の転換を図ろうとしています。

私たち教育公務員についても多忙な勤務実態が深刻な社会問題として認知され、労働法制の範囲に係る課題はあるものの、同様のとりくみがすすめられています。その一つとして、中教審による学校の働き方改革に関する答申と勤務時間の上限に関するガイドラインに基づいた見直しが動きつつあります。ただ、答申とガイドラインの内容には給特法の見直しが先送りされたことや変形労働時間制の導入が盛り込まれたことなど、実態にそぐわないとされる課題があり、加えて、抜本的な解決のために必要な業務削減や定数改善に関しては踏み込んだ言及がなされていません。しかし、そうは言っても批判や諦めに終始してしまうことは、現状を追認することになってしまい職場の改善にはつながりません。身近な所で現状を変えるための一歩を踏み出していくこともまた、私たちとして考えなければならないことだと思います。そのためには、働き方改革を職場の話題として、何か小さなことでも職場で協力して実行しようとする仕組みや雰囲気が必要であると思います。今や分会というよりも管理職を含めて学校全体で考えるべき課題でもありますが、働き方改革は、必要な改善要求を続けることと並行して、些細なことであっても協力してとりくむことのできる職場づくりと連動するものであるとの認識をもってすすめていきたいと考えます。