本がくれる贈り物
富士宮市立富士見小学校 6年 小池 美桜

 私にとって「本」は、決して手放す事のできない宝物だ。家にはたくさんの本があり、小さい頃から身近な存在だった。そんな私の大好きな本には良い事がたくさんある。
 一つ目は「愛情」である。赤ちゃんの時から小学一年生の頃まで、毎日寝る前に布団で母が読み聞かせをしてくれた。たとえ叱られて泣いてしまった後でも必ず、
「ママ、本読んで〜。」
と言ったそうだ。笑ってしまうのは、トイレの中にまで母を連れ込み、くさい中でも読み聞かせをしてもらっていた事だ。母はどんな時でも気持ちを込めて、一生けん命読んでくれた。私は読み聞かせを通して母からたくさんの愛をもらった。
 二つ目は「安心できる空間」だ。人間には心がある。だからいやな気持ち、モヤモヤした気持ちになる事はだれだってある。そんな時、私にはホッとできる素晴らしい時間がある。それは、本を読む時間だ。本の世界へ入り込む事で、私の心はとてもスッキリした気持ちになる。ちなみに私は、本が好きなおかげで、自分で物語を書く事も大好きになった。いやな事があった時は、それらが最高のパートナーとなって、私の気持ちを切りかえさせてくれるのだ。
 家の書さい、学校の図書室、街の本屋さん、そこは、まるで宝石箱の様に魅力的でワクワクし、そして何より私にとって「安心できる空間」なのである。
 三つ目は「力」だ。私はよく友達に、
「いろんな言葉、漢字を知っているね。」
と言われる。本を読んでいれば自然に言葉も覚えるし、分からなければその意味を調べる。この力を早速調べてみたら「語彙力(ごいりょく)」という事が分かった。うわぁ「彙」っていう漢字!複雑で書きにくい!でも、ここでまた新しい知識が増えたので良かった。
 そして、私は図鑑を見るのも好きだ。外を歩いていて
「この植物はなんだっけ?」
「おにのげし!」
「この虫の名前分かる?」
「ハナムグリっていうんだよ!」
と、すぐに答える事ができる。今ではボロボロになってしまった、小さい頃から読んでいる図鑑を、私は殆ど暗記している。おかげで植物や生物に関しては得意分野になった。
 まだ私は小学六年生だから、他にも具体的にどのような力がついているのか、自分ではよく分からない。でもこれから先、様々な力となって実感していくのだと思う。
 このように、本は私達に素敵なものをたくさんくれる。
 テレビを見ていると、虐待(ぎゃくたい)のニュースが多い。そんなニュースを見るたびに、何の罪もない子供が、どうして辛く苦しい思いをしなければならないのかと心が痛む。毎日虐待をされて辛すぎる人生を送る子と、親に気持ちの込もった読み聞かせをしてもらっている子、どっちが良いだろうか。私は本の力を借りる事で、親からの愛をもらう子がたくさん増えてくれるとうれしい。
 スマホなどが身近な物となり、アプリをダウンロードすれば小説だってマンガだってその場で見られる。だから、わざわざ本を借りたり買ったりする人は少ないのかもしれない。でも私は、直接本にふれて読む方が好きだ。
 苦手とする人が多くいるかもしれない本だけれど、少しでも多くの人が実際に本にふれてほしい。本がくれるいろいろな力が、生きていく上で必ず活躍してくれると信じている。

本を通して通わせる「愛情」。本に触れることで生まれる「安心できる空間」。本から得られる「力」。美桜さんの本への思いが、具体的な体験を通して、とてもよく伝わってきます。「本がくれるいろいろな力が、生きていく上で必ず活躍してくれると信じている。」この思いを、これからも多くの人に伝えてくださいね。